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沈黙の春
レイチェル・カーソン /青樹 簗一
新潮社 刊
発売日 1974-02



一度手をつけたら必ず最後まで読むこと(裏技あり) 2007-03-08
幼い子供の頃、私や母が寝静まった夜遅くに父が帰宅すると、住んでいたマンションのリビングの床が虫で埋まっていたらしい。明かりをつけて驚愕する父の姿に気づくと、壁や部屋の隅に姿をひそめて消えていく虫の大群を見て以来、父はしきりに殺虫剤を散布していたのだが、母はヒステリックに反対し、自分からは絶対に殺虫剤を散布しなかった。今思うと、母は本書を読んでいたに違いない。



本書は農薬や殺虫剤が生態系被害を与え、最終的にその矛先が人間に向かう危険がすでに身近に迫ってくることを伝えた、環境ノンフィクションの先駆けとしてあまりに有名な本である。出版されてから40年以上経った今読んでも、中身は充分に衝撃的で、殺虫剤等を使うことへの恐怖が生まれる。しかし、それだけだと本書を「途中まで」しか読んでいないことがバレバレになる。本書の記述は薬品の危険性を語っている反面、薬品が貢献した公共衛生の向上をあまりに低く見ているし、薬品に替わる代替案が今日では首をひねらざるものが素人目にもかなり多いのだ(天敵農法にスズメバチを使うなど)。薬品を濫用する危険を警告する最低限の部分のみ評価することが賢明だろう。本書を読むなら、最初〜途中の衝撃的な記述のみならず、必ず15章、17章(つまり最後まで)読むこと。そこまで読まないと著者の防除観が表れてこないので、中途半端に劇的な記述に流されて、単なる薬物嫌悪論者になるだけで終わってしまう。きっと私の母は、本書を途中までしか読まなかったに違いない…。



全部読むのが面倒な方には、先に解説を読むことを勧める。本書の解説は全体を俯瞰した上で、本文に対する疑問をしっかり投げかけられており、本文を冷静に読む指針を作ってくれる点で、とても優れている。本文よりもむしろ解説の方が優れている部分が多い。いっそ解説だけ読むのもアリなのかもしれない。

既に昭和49年の初版以来多くの方に読まれている本である。
今更ながら・・・である事は十分知っているが、過去にアメリカでは現実に起こった話である。
そして、日本では、現在経済化著しい中国の汚染黄砂について近年では早春の季節から問題になっている。他国の経済発展につき口出しをする気はさらさらないが、1950年代後半にアメリカで起こったことは、現在の中国国内で現実になり、汚染黄砂で日本にも飛び火している事は間違いないだろう。

人間のつくったものは化学薬品だけではなく、生態系にまで影響を及ぼすウィルスについても同様で、あり得なものをつくり出してしまった事に対する自然から人間への罰かもしれない・・・。(カエルの生態系を脅かすカビの同じであろう)
環境問題にちょっと気になったら、この本を手にとって見て欲しい。 

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